街中には不思議な音に身体をうねらす人や、愛する人を差し置いてまで生きるべくその身すら染めてしまう人がいるようだ。
悟られないように、丁寧に、丁寧に。壊れないように、静かに、潜めている。
呼吸を忘れずに。そして自分を大切に。
膿が出るかの如く、僕らの日々に溜まる「何か」は本当の「何か」すらかすめる。
大好きなあの人のことを思っていたって、日々は残酷以上に明日が襲う。
肌を伝う指先と瞳の奥のガン。
明日への衝動をやめないで。気持ちを絶やさないで。
誰かが勝手に投げた石ころを踏んでよろけたって仕方がない。
そして私を置き去りにした私を恨むのだ。
やるせないのなら私が悪い。
手を取るタイミングなんていつでもあったんだ。
ずっと、そして今も、すれ違う人の目が怖いんだ。
どこでも、どこでも、なん時も。
人混みは面倒なんかじゃなくて怖い。
気張っていないと本当は怖いだけ。
急かす人に負けちゃだめだ。
結局自分は自分のことを考えていた。
足を踏み外すのが怖いだけだ。
誰しも言えない秘密は誰でもあるし、泣かなくてもいいじゃないか。
片手じゃだめだ。大事なものはちゃんと両手だ。
ピカピカの光を連れる轟音とドキドキする心。
ずーっと一瞬の光が瞬きと瞬きの間を抜けてく。
いいなー、いつまでも見てられるなぁ。
昔窓から3秒に1回くらいの頻度で光っていた空が不思議で不思議で楽しくて、赤ワインを飲みながら眺めてたら気持ち悪がられた。
着地点すら分からない彼らの勇姿だ。
人を殺めているのか?
建物にぶつかってしまったのか。
真っ暗な部屋が昼みたいになった。
あれは少し眠気を覚えた5限だったか。
高校の時、教室の数十メートル横に落ちたそれは、この世のものとは思えない音と閃光と振動と、人の叫び声を誘った。
夢から引きずり下ろし、集中力を断ち切り、窓や床を揺らす。
一瞬すぎて定かでは無いが、それはどこにでもあるたった1本の電柱を目掛けて一瞬の空中旅行を楽しんだようだ。
凍りつく教室には容易い出来事だった。
落ちた一瞬のそれのように、凍りついた教室がワっという盛り上がりに変わる。
あれ以上近いそれを体験していない。