一目散に逃げた彼は、1度だけこちらを振り向いたが、軽蔑の眼差しを向けていた。
そんな目で見られたら自分自身だって嫌いになってしまうよ。
フラフラになった頭をかち割るのはいつも脳内、斜め後ろから聞こえる声だ。正体は未だによく分からない。
ジャズにハマっていたのに、急にNirvana再熱する奴だ。やめておけ。
君がいないという理由だけでこうもなってしまう事実と、自分の弱さはいつまで経っても変わらない。
凝っていた料理でさえ、自分のためなんて思えるものを作る訳もなく、レンチン。
好きな人に作るからこそ意味があったのだ。
待ちぼうけでいることに気付いた時には歳は遥か遠くだ。
流れていないように見える川でさえ役割を果たす。
なんでか。なんでだろう。
馬鹿なことをしている。馬鹿なことを考えている。
冷たい声の正体は脳内のバグ。
訳の分からん言葉は本音とは違う。
丁寧に温めたものが、氷水に投げ入れられる瞬間は切ない。
誰かを救えたとしても、あの子を救うのは僕ではない。
なんということだ。世界の破滅。この世の終わり。
後付けの理由と枯れた観葉植物。
あっという間に背丈を超える土手の草木は、あの日の自分を捕まえる。
置いていかれた僕も、先で待っている君も、全てがただの妄想だったのかもしれない。夢の中の景色だったのかもしれない。
誰もいない道では空から罵倒の声が漏れる。
この世界線が鬱陶しく思えた頃にきっと爆発は起こる。
断絶!